高齢者の方の入れ歯の作り替え
先々週は佐賀で、先週は博多で、入れ歯の講習会に参加してきました。
かなりの高齢者の方の入れ歯を作り替える時の注意点について、今まで漠然と感じていた事が、講習会ではっきりしました。
まず確認しておくことは、
高齢者の方は、今している入れ歯が一番だと思っている、ということです。
ご家族の方が親の入れ歯が汚くなったとか、古くなったからとか言う理由で新しいのを作って欲しいと言われる場合があります。
ご本人が今している入れ歯が不満で不満でしょうがない場合は別として
かなりの高齢になられている方の場合は、基本的に新しい入れ歯は作らない方が
良いのです。(たとえ作っても前の入れ歯しか使わない場合が殆どです)
同じ入れ歯を4~5年も使っていると入れ歯の歯はドンドン磨り減ってゆきます。
その磨り減った歯で食べ物をすりつぶし、舌と上顎を使って適度な大きさに食塊を作って飲み込んでゆきます。
この作業にいきなり新しい入れ歯がくると、今までだとこれぐらい噛めばちょうど良かったのが、噛み過ぎになっていたり逆にすりつぶしきれていなかったりします。また舌と上顎で上手く食塊が作れていたのに上顎が高すぎたり低すぎたり変化すると
食塊が上手く作れなくなり、飲み込むのも上手くいかなくなる場合が起きてきます。
若いころは、そうなっても1~2週間もすれば順応しますが
高齢者になればなるほど、適応能力がドンドン低下して新しい入れ歯などが受け入れられなくなる事が多いのです。
では最後に何歳ぐらいから難しくなるかといいますと、かなり個人差がありますが
大体85歳前後がひとつの目安かなと思っています。
但し、認知症が入ってくればそれよりズット若くても厳しくなりますし、最近の症例では85歳の方でしたが簡単に馴染まれた方もいらっしゃったのであくまで目安とお考えください。
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